2000年9月24日日曜日
fieldにドーナル・ラニー&アンディ・アーバインがやってきた来た!(その3)
今日こそ、ドーナル&アンディの京都ライブがおこなわれる日なのだ。会場は京都の老舗ライブハウス磔磔。fieldから早歩きで5〜6分の近さなのだ。昨日大急ぎで作ったドーナルとアンディのfieldアイ研名誉部員バッジを持ってワシは勇んで磔磔まで走って行ったのだ。会場前の駐車場にはもう相当な人だかりが出来ていて、知った顔もたくさん来ているようす。ワシは人垣をかき分けかき分けやっと磔磔の戸口までたどり着き、会場整理係のお兄ちゃんの制止も振り切って自らドアを開けて中に入った。中では磔磔の大将水島さんがスタッフと何やら打ち合わせ中だったが、こっちにあまり気を留めていない様子だったので、2階の楽屋に通じる階段を一気に駆け上がった!一番奥の椅子でアンディがあのギターボディーのブズーキをつま弾いている。ドーナルも楽器の調整をしている様子。んーと、居た居た、今日ステージで英語のMCを元に曲の説明を日本語に訳して説明する係のりうさんが居た。よっしゃよっしゃ、りうさんはアイ研部員だし胸にはちゃんとアイ研の部員バッジをつけているぞ。こういう空気の中に飛び込んで知り合いがいるというのは心強いものだ。「今、彼らに話しかけてもいいかなあ?」「ええんちゃう?」の軽いやりとりですっかり安心したワシはドーナルの居る方へ突進して名誉部員バッジを手渡した。アンディーもちょうどブズーキをつま弾く手を休めている所だったので、同じくバッジを渡した。ドーナルは緑文字の106番、アンディは105番のバッジだ。彼らは予想以上に大げさに喜んでくれて、そのまま胸にバッジを着けた!!話が後になってしまったが、この時のワシの姿といったらもう、特性背番号付きfieldアイ研Tシャツにアイ研部員バッジ「69番」を胸に着けている「何やろう?あのおっさん」だった。下に並んでいたアイ研の奴らの何人かも胸にバッジを付けて来ていたし、知らない人たちが見たら「何やら黒い三角バッジを着けている胡散臭い一群がいるなあ」というような光景に違いないのだが、これでもし、彼らがあのままバッジを胸に付けたままステージに上がってくれたらとっても愉快じゃな!と傍らのNo.44のイクシマぶちょーとしゃべっていたら、ステージが始まった。サムルノリ、ソウルフラワー・モノノケ・サミット、と続き、よっ!ドーナル&アンディーの登場!!おおおおお!バッジ付けとるでえ!!感激い〜っじゃ。これでステージ上にいるドーナル、アンディ、りうさんのと客席最後方の畳席奥に陣取るわれわれアイ研メンバーがそろって怪しい黒三角バッジを付けていることになるではないか!!何とまあアホらしいお遊びやけど、こりゃあ愉快じゃ愉快じゃ。
2人の演奏は凄かった。プロフィール的には2人の担当楽器は共にブズーキである。過去にこの2人のアルバムがあったわけでもない。いかにそれぞれが凄いミュージシャンでもブズーキ2人で何すんねん?というのが大方の素朴な疑問だったはずだ。ロックファンなら例えばジミーペイジとベックがたった2人だけでステージに上がったとして何すんねやろ?みたいなもんやな。そりゃあ、何かとても凄い事になりそうなんやけど具体的にイメージできんという感じや。それが、この2人は軽々と最上級のアイリッシュ・ミュージクを披露してくれたのだ。そう。音源といえば、2本のブズーキ、ドーナルが時折持ち替えるギター、それにアンディの歌声だけやで!これだけの楽器で信じられないようなダンスチューンも織り交ぜながら、アンディの渋いトラディショナル・ソングがわれわれをステージに釘付けにする。時折りうさんが曲の解説をするのもわれわれにとっては適度に緊張感がほぐれて良かった。と、その時アンディのブズーキがめちゃめちゃ耳慣れたイントロを奏でた!!ああ!ワシが昔パトリックストリートのアルバムから必死でコピーした「インディアナ」やんけ!あの頃はブスーキなんて楽器があるのも知らんかったから、わざわざ12弦ギターを購入して苦労して弾いたあの曲や!目からウロコじゃ!こりゃあブズーキでやっとったんかい!? ああ!フィドルのパートをドーナルがギターで再現している。これはアレンジもほとんどそのままじゃ!「フェーアーウェールウナウ〜〜〜」そうやそうや、この声や・・・・・ワシはもう少しで泣き出すとこやった。まわりにはイクシマぶちょーやヨコヤマや正垣らが居るのでここはこらえた・・・。うん。
ステージが終わり、ワシはそそくさと人垣を抜けて、大急ぎでfieldに帰った。今度は彼らを迎える役じゃ。「今夜ここにドーナル・ラニーが来るんだろう?」とウワサを聞きつけてやってくるお客さんもけっこう来た。彼らも打ち上げメンバーは10人を軽く越えるだろうし、席が無くならない内に表に「今夜貸切」の表示を出す。それでも外国人の方々はホンマに日本語が読めないのかどうか怪しいが、構わず入ってくる。まず、スタッフ達が先行してやってきた。ぶちょーとりうさんもやって来て、もうすぐ来るはずだ、という。どんどん人が増えてくる。ホンマ、席無くなるで・・・と気をもんでいると、2人は揃ってやってきた。ソウルフラワーの面々とサムルノリの人達もすでに到着している。中川さんだけが、今楽器を運んでいる、とかでまだ到着していない。・・・エライなあ。天下のソウルフラワーの中川氏自らローディーやってるなんて!!ぼんつるが先に酒飲んでる場合かコラ!とその辺の知らない若者をにらんだりする。とにかく、みんな腹減ってるやろう。ドーナルとアンディのついた席のまわりは人が何重にも取り囲んでいたが、そこへせっせと料理とビールを運ぶ。そんな頃、中川さん到着。いやいやホントに伊丹さんも中川さんもまわりへの気配りが凄い。ホントに凄い。
今夜も怒濤のセッションだあ!と若いもんは当然のように楽器を持って来ている。でも、ドーナルとアンディのまわりは人人人で楽器を持って近くに寄ることができない。しようがないので彼らはカウンター前の席に陣取ってセッションを始めてしまった。イクシマぶちょーが血相変えてワシのとこへやってきて、今中川さんから聞いたんやけど2人の楽器はもう楽器車に積んでしもたって!!・・・そうか、楽器がなければセッションできないというわけで、ぶちょーは慌てているわけだ。よっしゃ!わかった!幸いfieldにはブズーキが売り物併せて3本ある。何とかなるで!とにかくワシのブズーキの1本を出して、弦をハズし、ナットを抜こうとするがこれがなかなか抜けない。しょうがないからハンマーで叩く。割れた!!けど抜けた。まあ何とか弦の溝らしきものの痕跡はとどめている。これを逆向きに取り付けてブリジも逆向きにし、弦を全部張り替える。これはイクシマぶちょーがしてくれた。そして、もう1本のブズーキのチューニングをレギュラーに戻して、この2本をイクシマぶちょーに託す。
ドーナルはこのにわか作りの左利き用ブズーキをイクシマぶちょーに手渡されて、ここまでされたら弾かなしゃあないなあ、といって、このブズーキを持ってセッションの真ん中へ入って行く。アンディはイクシマぶちょーからブズーキを手渡されたものの、まわりの人と歓談中であまり関心を示してくれなかった。しかし、突然ドーナルが乱入してきたセッションはいやがおうでも盛り上がる。あ、いつの間にかアイ研顧問の赤澤さんがドーナルの斜め向かいでフィドル弾いてるやんか。いつもながら忍者のような赤澤さんやね。ドーナルの正面にはイクシマぶちょー。ドーナルの横ではヨコヤマ、その前にハタオ、とーよー。いやもうガンガンのセッションじゃあ。アンディはどうもセッションには入る気がなさそうなので、アンディの所に置いてあったブズーキを持ってワシもセッションに入った。いやもう確かに音はドシャドシャやけども、とにかく凄い空気感。そこにいるみんなが興奮している以上空間から絶え間なくダンスチューンが繰り出される。
さて、ドーナルもさすがにお疲れのご様子でさりげなくセッションの場から離れた。それにしてもこの乱暴な若い奴らを相手によくもこんなに長時間セッションに付き合ってくれたものだ。それもさっきステージが終わった所なのに・・。頭が下がる。夜が更けるにつれ人も少しづつ減ってきて、少し落ち着いたカンジになってきた。よっしゃ、この日のために用意した正式のfieldアイ研名誉部員証をドーナルとアンディにぶちょーと手渡す。まあこれもシャレといえばシャレなんやけど、2人とも、それは喜び過ぎやろ?、と言いたくなるほど喜んでくれた。そしてパチリ、記念撮影。
明後日が名古屋公演で、明日は空き日ということなので、みんなゆっくりしてくれたのが嬉しかった。みんなが引き上げたのはいつものfieldの閉店時間をとうに過ぎていたぐらいだから・・。みんなが帰って、ワシはもうカウンターにぽつねんと座り、しばし放心状態に陥っておりました。うーん。凄い、凄い、凄い夜やった!この興奮は正に筆舌に尽くしがたいてなもんや・・・。